FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

X1・X2夫婦(申立人・抗告人・相手方。X2はがん治療のため子宮摘出手術を受けている)は、2003年5月、米国ネバダ州在住の女性Aとの間で代理出産契約を締結した。AはX1の精子とX2の卵子からなった受精卵を自己の子宮内に受け入れ、妊娠し、同年11月に双子B・C(本件子ら)を出産した。ネバダ州は、州法において一定の要件を満たした代理出産契約を有効とし、依頼者夫婦を生まれた子の親として取り扱う規定をおいており、これらの規定に基づき、ネバダ州の裁判所が、Xらの申立てを受け、同年12月、X1・X2がB・Cの血縁上および法律上の親であることを確認した(本件ネバダ州裁判)。XらはB・Cとともに帰国し、東京都品川区長Y(相手方・相手方・抗告人)に対し、B・Cの父をX1、母をX2と記した出生届(本件出生届)を提出したが、(Xらが有名人であり、かつ代理懐胎を依頼した事実を広く公表したこともあり)Yは、X2による分娩の事実がないことから、本件出生届を受理しなかった。Xらは東京家裁に本件出生届の受理を命じることを求める申立てをした。第一審(東京家審平成17・11・30民集〔参〕61巻2号658頁)は、日本民法の解釈上、子を出産した者が母であるとし、上記申立てを却下したため、Xらが抗告。原審(東京高決平成18・9・29前掲民集〔参〕671頁)は、民法の解釈上、出産した女性が母となると認めつつも、民事訴訟法118条3号により本件ネバダ州裁判の効力を承認することは公序良俗に反しないと判断し、X1・X2を子らの法律上の父母とするのが適切であるとした。したがって、高裁は家裁の決定を取り消し、Yに本件出生届の受理を命じた。Yが許可抗告を申し立てた。¶001