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事実の概要
自転車に乗っていたA(6歳)は交差点内でZ(上告補助参加人)の運転するタクシーと接触、転倒し頭部などに負傷した。事故後、Aは直ちに救急車でY(被告・控訴人・被上告人)が経営する病院に搬送されたが、病院長B(Y代表)は、Aのレントゲン写真で頭蓋骨骨折を発見しなかったことから、頭部のCT検査をしたり、病院内で経過観察することなく、負傷部分を消毒し、抗生物質を服用させた上、「何か変わったことがあれば来るように」などの一般的指示のみでAを帰宅させた。Aは、帰宅直後に嘔吐し、その後、眠ってからも、いびきをかいたり、よだれを流したりしたが、Aの両親であるXら(原告・被控訴人・上告人)は、この容態を重大なこととは考えなかった。しかし、さらに、体温が上昇してけいれん様の症状を示すなどしたため、Xらは救急車を要請した。救急車が到着した時点でAは脈がなく呼吸も停止しており、病院搬送後、死亡した。Aの死因は、頭部打撲による硬膜外血腫であったが、硬膜外血腫は、早期にこれを除去すれば予後は良く、高い確率で救命の可能性があるものである。¶001