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事実の概要
X(当時17歳。原告・控訴人・被上告人)は、平成N年、ナイフをリュックサックの中に入れて持ち歩いたという非行事実に係る銃砲刀剣類所持等取締法違反保護事件について東京家庭裁判所に送致され、不処分により終了した。Xは、先天的な発達障害であるアスペルガー症候群の診断を受けていた。¶001
臨床心理士の資格を有し、過去に広汎性発達障害に関する論文を発表したこともあった家庭裁判所調査官Y1(被告・被控訴人・上告人)は、Xの保護事件を担当した。その調査の際に作成した手控えを基礎資料として論文を執筆した。平成N+1年、Y2(被告・被控訴人・上告人)の発行する精神医学関係者向けの雑誌にこれを掲載し、平成N+4年、Y3(被告・被控訴人・上告人)の発行する研究者等を対象とする専門書籍(以下「本件書籍」という)にも収録した。¶002