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事実の概要
有線放送業務を営むY社(被告・控訴人・被上告人)は、X社(原告・被控訴人・上告人)から、街頭宣伝に使用するために本件放送機械(有線放送用スピーカー)を24万7980円で購入し、昭和27年4月18日、その残代金16万6000円の支払のために満期を同年6月17日とする約束手形を振り出した。¶001
Y社は、本件放送機械を引渡前である同年4月25日頃より実験的に使用し、その結果が一応良好に見えたので、同年5月3日にX社から本件放送機械の引渡しを受けた。しかし、本件放送機械には雑音および音質不良があり、付近の住民から苦情が出るほどであった。Y社の求めに応じてX社の技師が数回の修理を行い、Y社は放送事業を続けたが、またすぐに同じような雑音や音質不良を繰り返し、技師も完全に修理することができなかったため、Y社は、同年6月初め頃、X社の担当者に本件放送機械を持ち帰り完全に修理するよう催告した。X社がこれを放置して修理しないので、Y社は、同年8月に別の会社から放送機械の貸与を受けて街頭宣伝を続けた。X社が満期に手形を呈示して支払を求めたがY社が拒絶したため、X社は手形金の支払を求めて提訴した。Y社は、同年10月23日の第1審口頭弁論期日において本件売買契約を解除する意思表示をした。¶002