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事実の概要

Aは、昭和12年頃、X(原告・被控訴人・上告人)から、Xが所有する本件土地を建物所有の目的で賃借し、本件土地の上に甲建物(木造平家建居宅13坪)を建築した。Bは、Aから甲建物の一部を賃借し、甲建物の屋上に乙建物(〈判旨〉参照)を建築した。Xは、Bが増築することについてAの承諾があったとしている。昭和40年3月、Aが死亡したため、本件土地の賃借権および甲建物の所有権は、相続人Y1~Y6(被告・控訴人・被上告人)に承継された。そこで、昭和41年10月、Xは、Y1~Y6に対し、AからBへと無断で乙建物の敷地部分の賃借権が譲渡され、または同部分が転貸されたとして、民法612条2項の規定により敷地賃貸借契約を解除し、本件土地の所有権に基づいて、甲建物を収去して本件土地を明け渡すよう求めた。また、昭和42年7月、Bの相続人であるCらは、乙建物について所有権保存登記をした。即日、CらからY3への売買を原因とする所有権移転登記がされた。乙建物の登記簿の表題部には、現況とは異なり、平家建とある。Xは、Y3に対し、本件土地の所有権に基づいて、乙建物を収去して本件土地を明け渡すよう求めた。¶001