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事実の概要

訴外A社は、昭和40年6月2日、Y(被告・被控訴人・被上告人)から本件建物の建築を代金622万円で請け負った。A社は工事の一部は自らが行うこととしつつ、同月16日、X(原告・控訴人・上告人)の夫B(原告。1審係属中の昭和41年6月21日に死亡し、Xがその地位を単独相続)に対し、整地、基礎工事等の作業を、材料全部をBが調達して行うものとして、代金380万円、着工・上棟等の随時に支払う約束で請け負わせた。Bは直ちに工事に着手し、昭和40年7月15日頃には棟上げを終え、屋根下地板を張り終えた。A社はYから代金のうち213万円まで支払を受けていたが、Bは、A社から交付を受けていた小切手、約束手形が全て不渡りとなったので、屋根瓦を葺かず、荒壁も塗らないまま工事を中止し、A社に対して請負契約の解除の意思表示をした。そこで、Yは同年10月頃、A社との請負契約を合意解除し、同月15日、建築続行をC社に注文し、工事進行に伴い本件建物の所有権はYに属する旨の特約をして工事を進めさせた。これに対し、同年11月19日、Bの申請により、建築中の本件建物を執行官保管とする旨の仮処分決定が発令・執行されたが、既に未完成ながら独立の建物となっていた。同決定は同年12月8日に取り消され、C社は工事を続行し、本件建物を竣工させた。BはYに対し、本件建物の明渡しと賃料相当額の損害金の支払を求めて訴えた。¶001