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事実の概要

X(原告・控訴人・上告人)は、訴外Aの隠居による家督相続により本件土地を取得したが、その後、隠居者Aは、本件土地をYら(被告・被控訴人・被上告人)に贈与し、Yらの所有権移転登記が経由されたため、XはYらに対し同登記の抹消を請求した。¶001

原審(東京控判明治41・5・1新聞503号23頁)は、隠居相続による相続不動産の取得もまた民法177条の適用を受け、登記をしなければ第三者に対抗することができないとしたため、X上告。上告理由は、「同条ハ不動産ニ関スル物権カ当事者ノ意思表示ニヨリテ発生移転スル場合ノミヲ規定シタルモノニテ相続(死亡ト隠居トヲ問ハス)ニヨリ不動産上ノ物権ヲ取得セル場合ニ適用スヘキモノニアラサルコトハ御院明治38年(オ)第203号明治38年12月11日第二民事部ノ判決ノ判例ニ徴スルモ明白」というものであった。¶002