FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

Y(被告・被控訴人・上告人)の親権者である母Aは、Yが未成年のときに、親族会の同意を得ずに、X銀行(原告・控訴人・被上告人)より借入れ(「借財」)をした(当時の民法〔旧規定〕886条・887条1項前段により、取消可能な法律行為とされるものであった)。Yが成年に達した後、Yは、Xから支払命令の申請があったので、借入金の利子と費用の支払をした。Xは、その後、Yが借財の一部を弁済した事実をもって、民法125条により追認があったものとみなされるとして、Yに対し、貸金の残部の履行を請求した。これに対して、Yは、一部履行をした際には取消しの原因を知らなかったので追認とはならないと主張し、Xに対し、借入行為を取り消す旨の意思表示をした。¶001