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事実

本件は農業協同組合(以下「農協」)であるX1(原告・控訴人)の行為に対してY(公正取引委員会。被告・被控訴人)の排除措置命令が出され、X1を吸収合併したX2(原告・控訴人)がその取消を求めた事件であるが、本稿では両者を区別せずXとする。¶001

Xは、高知県内の一部区域の農業者によって設立された農協であり、なす等の園芸農作物の選果等を行うための施設として集出荷場を設置し運営している。これらの集出荷場の業務を円滑に行い生産農家の所得向上を目的とする生産者組織として支部園芸部が組織されており、Xはこれらの集出荷場に出荷されたなす等の園芸農作物の販売を受託している。Xは受託したなすの全部について訴外A園芸農業協同組合連合会(以下「園芸連」)に販売を委託しており(以下、X管内で生産されるなすについて、集出荷場に出荷されXが販売を受託し、さらにXが園芸連に販売を委託することを「系統出荷」という)、園芸連は受託したなすの販売を全国各地の卸売業者に委託している。他方、X管内およびその周辺地域には、X以外にも卸売市場を開設しなすを集荷・販売する青果卸業者(以下「商系業者」)が3社ある(以下、この3社をあわせて「商系三者」)。X管内の農業者は、その生産したなすを系統出荷することも商系業者に販売委託することもでき(以下、系統出荷せず商系業者に販売委託することを「系統外出荷」という)、商系業者は系統外出荷されたなすを自らの卸売市場において仲卸業者等に販売している。また、集出荷場の中には、敷地内に商系業者が集荷に用いる場所である置き場を設けるという便宜を図っている例もあり、農業者はこの置き場になすを持ち込むことによっても系統外出荷ができる。なお、商系三者はその集荷するなすの9割以上をX管内から集荷している。¶002