Ⅰ.はじめに

建設アスベスト訴訟においては、国賠訴訟とともに、石綿含有建材メーカーらに対しても不法行為に基づく損害賠償請求がなされた。石綿含有建材から生ずる粉じんにばく露すると石綿関連疾患にり患する危険があること等を表示することなく同建材を製造販売したことにより、本件被災者らが上記疾患にり患したと主張したのである。

裁判例においては、当初は建材メーカーの責任を否定するものが多かったが(【1】横浜地判平成24・5・25訟月59巻5号1157頁〔神奈川1陣〕、【2】東京地判平成24・12・5判時2183号194頁〔東京1陣〕、【3】福岡地判平成26・11・7 LLI/DB L06950550〔九州1陣〕、【4】大阪地判平成28・1・22判タ1426号49頁〔大阪1陣〕、【6】札幌地判平成29・2・14判タ1441号153頁〔北海道1陣〕、【9】東京高判平成30・3・14 LLI/DB L07320508〔東京1陣控訴審〕)、徐々に肯定例が増加した(【5】京都地判平成28・1・29判時2305号22頁〔京都1陣〕、【7】横浜地判平成29・10・24 LLI/DB L07250854〔神奈川2陣〕、【8】東京高判平成29・10・27判タ1444号137頁〔神奈川1陣控訴審〕、【10】大阪高判平成30・8・31判時2404号4頁〔京都1陣控訴審〕、【11】大阪高判平成30・9・20判時2404号240頁〔大阪1陣控訴審〕、【12】福岡高判令和元・11・11裁判所Web〔平成26年(ネ)第964号〕〔九州1陣控訴審〕、【13】東京高判令和2・8・28判時2468゠2469号15頁〔神奈川2陣控訴審〕、【14】東京地判令和2・9・4 LEX/DB 25586308〔東京2陣〕)。