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事実の概要

砂利等の採取販売を営むXは、宮城県知事の許可を受けないで、旧河川法の適用河川であった仙台市名取川の河川附近地において砂利等の採取を行ったため、河川附近地制限令4条2号に違反して「河川附近ノ土地ノ堀削」をしたものとして、同令10条の罰則により起訴された。Xは、従前より、名取川堤外地の民有地を賃借し、人を雇い入れて砂利採取業を営んでいたが、昭和34・12・11宮城県告示643号によって当該地域が河川附近地に指定されたことで、河川附近地制限令により知事の許可を受けなければ砂利等の採取を継続できなくなり、知事に対する砂利採取の許可申請も却下された。Xからすると、既に相当の資本を投入した事業が営めずに多額の損失を被るにもかかわらず、同令には4条の制限による損失の補償に関して何の規定もなく、現実に補償もされていなかった。そこで、同令4条2号、10条の各規定は憲法29条3項に違反し無効であるなどとして、Xは無罪を主張した。第1審(仙台簡判昭和37・8・31刑集22巻12号〔参〕1411頁)、控訴審(仙台高判昭和37・11・30同刑集〔参〕1416頁)はともに補償に関する規定のない同令4条につき憲法29条3項に違反しないと判断してXを有罪とし、Xが上告した。¶001