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事実の概要

Y社(被告・控訴人・上告人)は、X社(原告・被控訴人・被上告人)の主要株主であったが、平成11年中に数回にわたってX社発行の株式を短期間に売買し、合計2000万円を超える利益を得た。X社は、これがいわゆるインサイダー取引にあたるとして、証券取引法(現・金融商品取引法、以下証取法という)164条1項に基づき、この利益をX社に提供することを求めて訴えを提起した。第1審(東京地判平成12・5・24民集56巻2号〔参〕340頁)は請求を認め、控訴審(東京高判平成12・9・28同民集〔参〕346頁)もY社の控訴を棄却したため、Y社は最高裁に上告した。Y社の主張によれば、売買の相手方は代表者および株主を同じくする関連会社であって一般投資家に損害はなく、このような場合にまで利益の提供を義務づけることは、憲法29条の財産権を侵害するという。¶001