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事実の概要

X(原告・控訴人=附帯被控訴人・上告人)は日本史の研究者である。1952(昭和27)年以降、旧文部省検定済み教科書『新日本史』を執筆してきた。1960(昭和35)年の学習指導要領改訂を受け、Xはこれを改訂し、出版社を通じて申請を行った。これに対し文部大臣(当時)は、1963(昭和38)年4月、同申請を不合格処分とした。更に1964(昭和39)年には、修正指示を付与した上での条件付き合格処分となり、Xは検定意見を受け容れて修正に応じ、同教科書は発行に至った。しかし、Xは、教科書検定制度ならびに一連の処分が憲法21条、23条、26条等に違反するとして、Y(国―被告・被控訴人=附帯控訴人・被上告人)を相手とし、慰謝料等を求める国家賠償請求訴訟を提起した。¶001