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有斐閣法律用語辞典第5版
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事実の概要
本件は、「夕刊和歌山時事」を編集・発行する被告人Yが、名誉毀損罪(刑230条)に問われた事例である。Yは、昭和38年2月18日付の同紙に、「吸血鬼Aの罪業」と題して、市民の私生活の平穏を乱し名誉・信用を毀損する悪徳新聞であるとYが考える旬刊「和歌山特だね新聞」を編集・発行するAに対して、以下の批判記事を自ら執筆し、7回にわたってこれを掲載し頒布した。すなわち、①Aが恐喝・名誉毀損により懲役1年の確定判決を受け、昭和37年に刑の執行を終えた旨の記事、および、②A本人または「和歌山特だね新聞」の記者BがAの指示のもとに、和歌山市役所土木部課長Cに向かって、「出すものを出せば目をつむってやるんだが、チビリくさるのでやったるんや」と聞こえよがしの捨てぜりふを吐き、上層の主幹Dに向かって、「しかし魚心あれば水心ということもある、どうだ、お前にも汚職の疑いがあるが、一つ席を変えて一杯やりながら話をつけるか」と凄んだ旨の記事である。¶001
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藤井樹也「判批」憲法判例百選Ⅰ〔第8版〕(別冊ジュリスト273号)134頁(YOL-B0273134)