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事実の概要

1972年、戦後長くアメリカの統治下にあった沖縄の施政権が、日米間の沖縄返還協定の調印により、日本に返還される運びとなった。しかし、返還後も沖縄の米軍基地は維持されるため、無条件の返還を求める政治運動が各地に展開されていた。沖縄返還協定に反対する中核派全学連の中央執行委員会委員長であった被告人Xは、同年10月から11月にかけて都内で反対運動を展開した。11月10日には、芝公園において、約1600人の集会参加者を前に、沖縄返還協定の国会での批准承認に反対する目的をもって、来る14日「渋谷の総決起を確信し、……渋谷において、機動隊せん滅のみならず渋谷駅を断固として焼き払い、銀行をはじめとする独占資本を焼き払おうではないか」、「必ずや14日渋谷に登場し、渋谷の機動隊員を撃滅し、一切の建物を焼き尽くして渋谷大暴動を必ず実現するということをはっきり決意表明したいと思います」などと演説し、共同して警察官に対する暴行、その職務執行の妨害、放火などを行うよう呼びかけた。演説後の同14日、渋谷駅周辺において、電車が止められ、警察官に対する投石、火炎瓶の投てきが頻発したほか、交番等への放火がなされた上、警察官1名が火炎瓶等によって殺害されるという事件が発生した(渋谷暴動事件)。この事件に加わった者の中には、同月10日の集会に参加した者も含まれていた。¶001