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事実の概要

1960(昭和35)年3月14日に、八幡製鉄株式会社の代表取締役であったY1、Y2の両名(被告・控訴人・被上告人)は、同社を代表して自由民主党に政治資金として350万円を寄附した。同社の株主X(原告・被控訴人・上告人)は、この寄附は同社の定款に定められた事業目的(同定款2条は、「鉄鋼の製造および販売ならびにこれに附帯する事業」を同会社の目的として定めていた)の範囲外の行為であり、かつ旧商法254条ノ2(現行会社法355条)の定める取締役の忠実義務にも違反しているから、取締役の会社に対する賠償責任を発生させる「法令又ハ定款ニ違反スル行為」(同法266条1項5号、現行会社法423条1項に該当する規定)に当たるとして、同法267条(現行会社法847条に該当)に従い、Y1、Y2に対し、同社に350万円と遅延損害金を支払うよう求めて株主代表訴訟を提起した。¶001