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事実の概要

平成16年法律14号(平成16年4月1日施行)による改正後の租税特別措置法(以下「改正法」という)31条は、個人が5年を超えて所有する土地等または建物等を譲渡した際の譲渡所得(以下「長期譲渡所得」という)に係る損益通算を認めないこととし(同条1項・3項2号)、同年1月1日以後に行う土地等または建物等の譲渡について適用するものとした(改正法附則27条1項)。¶001

X(原告・控訴人・上告人)は、平成17年9月、平成16年分の所得税の確定申告書を所轄税務署長に提出したが、長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額については他の各種所得との損益通算が認められるべきであるとして、更正の請求をした。これに対し、所轄税務署長は、平成18年2月、更正をすべき理由がない旨の通知処分をし、Xからの異議申立ておよび審査請求はいずれも棄却された。そこで、Xは、改正法附則27条1項の規定が納税者に不利益な遡及立法であって憲法84条に違反すると主張し、通知処分は違法であるとして、国に対してその取消しを求めた。¶002