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事実の概要

被告人(再上告人)は、第2審広島地裁昭和21・12・24(第1審は、広島区裁)において窃盗罪の共同正犯として有罪判決を受け懲役刑を宣告された。被告人は、他の共同被告人たちの依頼により同人らを案内したに過ぎないとして、窃盗に関与したことを否定していた。そこで、証拠の採用が不当であることを主張して、同月26日に大審院に上告した。ところが、本件上告が行われたのは、日本国憲法の成立に伴う司法制度改革の時期であり、旧制度の裁判所における事件は、新たに設置された裁判所において処理されることになった。裁判所法施行令(昭和22年政令24号)1条は、大審院において事件を受理した場合には、東京高裁において受理したものとみなす旨を定めており、本件上告も東京高裁の管轄とされ、東京高裁が上告審として上告棄却の判決を下した。これに対して、被告人は、本件上告を最高裁ではなく東京高裁の裁判権に属させることが、憲法13条・14条・32条・76条2項に違反するとして、最高裁に再上告した。¶001