事実の概要
本件は、平成25年7月21日の参議院議員通常選挙の選挙人であるX(原告・上告人)が、Y(中央選挙管理会―被告・被上告人)を相手に、当該選挙の比例代表選出議員選挙の無効を求める事案である。Xは、A市内に設置された比例選挙の投票記載台に誤って選挙区選挙の候補者氏名が掲示される等の過誤を選挙無効原因として主張するほか、公職選挙法(以下「公選法」)9条1項(平成27年改正前のもの)が18歳および19歳の国民に選挙権を与えていないことや同法11条1項2号および3号が受刑者の選挙権を制限していることが憲法に違反する等の無効原因も主張した(以下、これらの規定を「本件各規定」という)。原審(東京高判平成25・12・9〔平25(行ケ)82号〕)は、Xの請求を棄却したが、公選法9条1項に関し、国会の裁量権の逸脱・濫用に当たるものではないことが明らかであり、また、公選法11条1項2号および3号について、それのみでは直ちに選挙無効事由となるものではないとしつつ、当該規定は国会の裁量権の逸脱・濫用に当たるものではないことは明らかであるとの判断を示した。これに対しXは、①公選法9条1項が18歳および19歳の国民に選挙権を与えていないのは憲法15条3項に違反する、②公選法11条1項2号および3号が受刑者の選挙権を一律に制限したのは憲法15条1項、3項、43条1項、44条但書に違反する、③Yが憲法上予定された選挙事務執行機関としての十分な独立性を有しておらず憲法47条に違反する等を主張して上告した(Xは上告受理申立ても行ったが、本決定は不受理とした)。¶001