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事実の概要

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昭和28年12月10日に召集された第19回国会では、多くの重要法案をめぐって与野党が激突していた。重要法案の一つであった、従来の市町村警察の制度を廃止し都道府県警察に組織変更する内容を含む新警察法案は、昭和29年5月15日に衆議院で可決され、参議院に送付された。しかし、3度目の会期延長(昭和33年の国会法改正前は会期延長の回数制限がなかった)の末、6月3日、会期が終了したので、内閣・与党は4度目の会期延長の方針を決定したが、衆議院での会期延長の議決に際して野党がこれに抵抗したため、議場は混乱した。議場に入れなかった議長は、議長席後方のドアを少し開いて、2本の指を挙げ、会期の2日間延長を宣言し、与党議員20~30人位が拍手をした。これによって議長は会期延長が議決されたと認定し、これを無効とする野党が以後の会議を欠席する中、6月5日に衆議院でなされた5度目の会期延長を経て、6月7日、参議院は新警察法案を可決し、同法案は成立した。¶001