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事実の概要

平成21年8月30日、衆議院議員総選挙が施行された(以下、本件選挙)。東京都内の複数の選挙区の選挙人らが、これに関し選挙無効訴訟を提起した。衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りおよび選挙運動に係る公職選挙法(以下、公選法)等の規定は憲法14条1項等に違反し、したがってこれに基づいて施行された各選挙区における選挙も無効、というのである。¶001

本件における争点は、2つある。第1の争点は、投票価値の平等の要求に反しないかである。衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下、区画審設置法)は平成24年改正前、次のような区割基準(以下、本件区割基準)を定めていた。すなわち、3条1項において各選挙区における人口較差が2倍以上にならないことを基本とし、同条2項において各都道府県にあらかじめ1議席を配当し(一人別枠方式)、残りの議席を人口比例で各都道府県に配分することを求める。したがって一人別枠方式の採用により投票価値の平等の実現が妨げられることになるので、本件区割基準(区画審設置法)および選挙区割りを定める規定(公選法)が憲法14条1項等に反するのではないかというのである。ちなみに、本件選挙時における選挙区間の選挙人数の最大較差は1対2. 304であり、選挙人数が最少の高知県第3区と比べ較差が2倍以上になる選挙区は45にのぼる。¶002