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事実の概要

財団法人Aの理事Xら4名(被審人)は、昭和35年7月20日、新たに理事1名が就任したため、法定期間(本件では2週間)内にその登記をしなければならないにもかかわらず、同年9月13日までその手続を怠った。そこで、京都地方裁判所は、民法46条2項・84条1号(両規定は平成18年法律50号により削除)、非訟事件手続法207条(現120条)によって、Xら4名を各200円の過料に処した(京都地決昭和36・4・19民集20巻10号〔参〕2318頁)。これに対して、理事長Bを除くXら3名(抗告人)は、裁判の公開を規定した憲法82条に非訟事件手続法207条が違反するとして、即時抗告した。しかし、原決定は、憲法82条にいう裁判とは民事および刑事の訴訟手続をいうのであって、非訟事件手続はこれに含まれないため、過料の裁判は公開の法廷で審理される必要はないとして、抗告を棄却した(大阪高決昭和37・1・23高民集15巻2号93頁)。そこで、X(特別抗告人)は、非訟事件手続による過料の裁判が憲法32条・82条、ひいては同31条に違反するなどとして、特別抗告した。¶001