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事実の概要

被告人は、母と妹を殺害の上、その死体を遺棄した罪に問われ、原審は尊属殺(廃止前)について死刑相当と判断した。そこで被告人は、「死刑こそは最も残虐な刑罰であるから」憲法36条により「死刑に関する規定は当然廃除されたものと解すべき」と主張して上告した。¶001

判旨

上告棄却。¶002

「生命は尊貴である。一人の生命は、全地球よりも重い。死刑は、まさにあらゆる刑罰のうちで最も冷厳な刑罰であり、またまことにやむを得ざるに出ずる窮極の刑罰である。」「各国の刑罰史を顧みれば、死刑の制度及びその運用は……常に時代と環境とに応じて変遷があり、流転があり、進化がとげられてきた……。わが国の最近において、治安維持法……等の廃止による各死刑制の消滅のごときは、その顕著な例証を示すものである。そこで新憲法は一般的概括的に死刑そのものの存否についていかなる態度をとっているのであるか。」¶003