事実の概要
X(原告)は、レオナール・フジタ画伯の未亡人で、多数のフジタ作品に係る著作権の相続人である。¶001
Y(被告)は、東京等でレオナール・フジタ展(以下、「本件展覧会」)を開催し、フジタ作の絵画、彫刻および模型(以下、「本件著作物」)を展示した。その際Yは、本件展覧会の展示著作物を複製して掲載した書籍(以下、「本件書籍」)を作成し、これを頒布した。¶002
本件書籍は、規格240mm×240mm、紙質はアート紙、装丁はフランス装、裏表紙は厚手の上質アート紙を用いた金色の装丁、総頁数は143頁であり、また、本件著作物の複製形態は、最大のものが右規格に納まる程度に縮小されたもの、最小のものが55mm×80mm、大部分が1頁の半分以上の大きさ、原寸に近いものが8点、複製枚数113枚、複製頁数89頁である。その内容は、本件展覧会の展示作品のみを掲載し、本件展覧会およびフジタの作品の紹介または解説を前段に、図版部を中段に、フジタの年譜等の資料を後段にそれぞれ配置して構成されたものであって、図版部には、鑑定書とともに本件著作物を掲載し、作品ごとに、題名、著作年、画材、彫刻・模型の場合には材質、手法、署名の有無・位置・態様、作品の大きさ、作品の所有者名等の資料的事項を例外なく記載し、7点の作品については説明が付されている。¶003