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事実の概要

Y1寺(被告・被控訴人=控訴人)では、江戸時代に造立された木彫十一面観音菩薩立像が「駒込大観音」として広く人々の信仰を集めていたが、東京大空襲により焼失した。Y1寺の先代住職Mは、仏師TおよびRに対し駒込大観音の復興となる新たな十一面観音菩薩立像の制作を依頼した。これを受けて「本件原観音像」が制作され、開眼法要が執り行われた後、公衆の観覧に供された。Mの死亡後、Y1寺の住職および代表役員となったAは、檀家や一般の参拝者からも、本件原観音像の表情に違和感を覚える旨の苦情や慈悲深い表情とするよう善処を求める旨の要望を受けていた。そこでAは、亡Rの弟子で本件原観音像の制作にも関与したY2(被告・被控訴人)に対し、新たな仏頭部の制作およびすげ替え作業を依頼し、Y2はこれを実施した。その後、Y1寺は、仏頭部をすげ替えた「本件観音像」を、公衆の観覧に供している。なお、Yらは、本件原観音像から取り外したすげ替え前の仏頭部を、原形のままの状態で観音堂に保管している。¶001