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事実の概要

(1)

Y市(埼玉県所沢市)では、待機児童対策として、子ども・子育て支援関連三法の施行に合わせて、保育所入所中の0~2歳児の保護者が平成27年4月1日以降の出産により育児休業を取得する場合には、原則として当該保護者の出産日の属する月の翌々月末日をもって当該児童の保育の利用を解除する制度(「育休退園ルール」)を導入した(それ以前は、保護者が継続申立書を提出すれば保育の利用継続を認める運用であったとされる)。Y市の「Y市保育の必要性の認定等に関する基準を定める条例」および「Y市保育の必要性の認定等に関する規則」(以下、「本件条例」および「本件規則」という)によれば、同制度は次のようなものであった。保育の利用継続を希望する保護者は、Y1(所沢市長)に利用継続申請を行い、Y1が利用継続事由該当性を判断して継続の可否を決定する。利用継続事由は、当初は①出生児の疾病(小児慢性特定疾患の対象者)、②出産した母親の疾病・障害、③多児出産、④在園児が混合保育を利用しており、引き続き混合保育の利用が必要な場合、に限定されていたが、後に、⑤その他、在園児の家庭における保育環境等を考慮し、引き続き保育所等を利用することが認められる場合、が追加された。利用継続不可決定がなされたときは、Y2(所沢市福祉事務所長)は「正当な理由があるとき」に該当するとして、保護者からの自主退園の申し出がない場合でも、保育の利用を解除する。このような制度の導入が保護者に知らされたのは、施行の約1か月前であった。なお、同制度は令和5年10月30日をもって廃止された。¶001