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事実の概要

(1)

生活保護法(以下、「法」という)による保護を受けていたX(原告・控訴人)およびその夫である亡A(以下、Xと亡Aを併せて「Xら」という)は、自宅として2棟の建物およびその敷地(以下、これらの建物および土地を併せて「本件不動産」という)を所有していた。¶001

(2)

Y(さいたま市―被告・被控訴人)のP福祉事務所長(Yの市長から生活保護法の事務の一部を委任された者。処分行政庁)は、法27条1項に基づき、Xらに対し本件不動産について要保護世帯向け不動産担保型生活資金貸付制度(以下、「本件制度」という)の利用を指導、指示したが、Xらがこれに応じなかったとして、保護を停止する処分(以下、「本件処分」という)をした。亡Aは、埼玉県知事に対し本件処分の取消しを求めて審査請求をしたが、同知事がこれを棄却する裁決をしたため、Xはこれを不服として、Yに対し本件処分の取消しを求める訴えを提起した(亡Aは訴え提起前に死亡)。原審(さいたま地判令和2・10・7判自483号76頁)は請求を棄却したため、Xは控訴した。¶002