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事実の概要

(1)

昭和32年10月15日、運輸事業を営むA社(労災保険の加入事業場である)の従業員である訴外Bは業務執行中に、訴外Cの運転する貨物自動車に接触され、右大腿骨複雑骨折等の傷害を負った。訴外Cは、貨物運送事業を営むY(被告・控訴人・被上告人)に雇用され、Yの業務を執行中過失によりBに傷害を与えたものである。その後、Bが自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」)に基づく給付金10万円のほか、慰謝料および治療費などとして2万円の支払を受けることで満足したため、同年10月21日、Bの代理人とYの間でその余の損害賠償請求権を一切放棄する旨の示談が成立した(本件示談)。この時点で国(原告・被控訴人・上告人)は後記(2)の保険給付を行っていなかった。¶001