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事実の概要

特別少年院送致決定を受けた少年が、このままでは少年院退院後も同じことを繰り返すおそれがあるので、罪を償い一人でやり直すという意味で、少年院ではなく刑事処分を受けたいなどとして原決定の取消しを求め抗告した。¶001

決定要旨

抗告棄却。¶002

「少年法32条は『保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は附添人から、2週間以内に、抗告することができる。』と規定し、保護処分に対し少年の側にだけ不服申立の途を開いているのであるが、少年法は少年の可塑性、未熟性にかんがみ、その非行に対しても成人とは異った取扱いをすることによってその健全育成を企図したものであり、その保護処分は刑事処分によって受ける少年の現在及び将来の不利益を排し、適切な矯正教育を施そうとするものであるから、これが刑事処分に比して利益なものであること、換言すれば、刑事処分が保護処分より不利益なものであることは明らかなところである。したがって、特別少年院送致の保護処分よりも刑事処分を望むという所論は、少年にとって不利益な措置を求める主張であり、かかる抗告は上訴の利益がないことに帰着するから不適法といわなければならない。」¶003