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事実の概要

少年(当時19歳)は、同じ団地に住む少女(当時17歳)が少年の母親の陰口をたたいているとのうわさ話を聞き及ぶや、同女方に赴き、同女が陰口を述べたと決めつけ、同女や同女の母親(当時50歳)に対して詰問し、暴言を浴びせるなどしたものの、なお忿懣の念が収まらなかったため、翌日、少年宅から少女方に電話をかけ、応対にでた少女の母親に対し、大声で、「手前、この野郎、やっぱり噓言ったんじゃねえか、証拠があるんだ。手前らはこのアパートにも日本中にもいられなくしてやる。ぶっ殺してやる」と怒鳴りつけ、もって同女らの生命、身体等に対し危害を加えることを申し向けて脅迫したという保護事件につき東京家裁に在宅送致された。少年は上記発言を否認し、付添人はこれに加え、人を畏怖させる害悪の告知とまではいえないとする趣旨の主張を行った。これに対して同家裁は、証拠調べを実施し、少女の母親と少女の供述の信用性を認めて少年および付添人の主張を排斥し、脅迫行為であるとの非行事実を認定したが、前歴がないこと、被害者である少女の母親が少年の処罰を明確に希望しなかったことその他本件事案の性質、態様を勘案し、少年に対しては、訓戒の上、少年法23条2項を適用して、保護処分に付さない旨の決定を言い渡した。¶001