FONT SIZE
S
M
L
事実の概要
本判決は、1審(東京地判昭和58・11・18家月43巻10号72頁)で、①Aと共謀によるひったくり窃盗3件、②Bと共謀によるバイク盗1件、③単独での部品窃盗1件により有罪とされた被告人(以下「少年」という)が、公訴提起に至る手続に違法があり公訴を棄却すべきであるのに、実体判断をして少年を有罪とした原判決には不法に公訴を受理した違法がある等と主張した事件の控訴審判決である。¶001
本件の公訴提起は以下のような経過をたどっている。¶002
東京地検検察官は、昭和57年7月5日、少年につき上記①~③の事実を東京家庭裁判所に送致したところ、同裁判所は、同月29日、①の事実につき、少年は「一貫して頑強にその犯行を否認しているが、共犯者Aが具体的かつ詳細に供述しており、その供述を裏付ける証拠も存在しており、その事実は一応認められる」ものの、「なお解明すべき疑点が生じており、特に証拠上重要視すべき被害品の一部とされているものが、はたして被害者のものと一致するかどうかについては疑わしいものがあり、審理の経緯に徴すると、これらは対審手続による刑事裁判によって事案の真相を明らかにして罪責の有無を明確にすることが相当」と指摘した上、罪質および情状に照らして刑事処分を相当として、①~③事件を東京地検検察官に送致した(本件逆送決定)。¶003