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刑訴法256条3項は、起訴状の公訴事実の記載について、訴因の明示を要求し、訴因を明示するには、「できる限り日時、場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定」すべきことを定めている。

本件の被告人(昭和27年4月頃まで水俣市に居住した後、所在不明となり、昭和33年7月上旬に中国から引揚船白山丸に乗り込み帰国した)は、密出国者として、「被告人は、昭和27年4月頃より同33年6月下旬までの間に、有効な旅券に出国の証印を受けないで、本邦より本邦外の地域たる中国に出国した」との公訴事実(「犯罪の日時を……6年余の期間内とし、場所を単に本邦よりとし、その方法につき具体的な表示をしていない」)で起訴された。被告人は、本件公訴事実の記載について、日時等が不特定で刑訴法256条3項に違反する(したがって公訴棄却すべきである)と主張したが、最高裁は、次のように判示して、これを斥けた。

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