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事実の概要

昭和37年1月10日に第1審大阪地裁でA事件(暴力行為等処罰に関する法律違反、恐喝、詐欺、同未遂、傷害、監禁等の罪)で実刑判決(懲役2年6月)を受け控訴(控訴は棄却され、昭和43年2月27日に上告も棄却された)して保釈中であったXは、その間にさらにB事件(有価証券偽造、同行使、詐欺未遂、賍物牙保)をおこして起訴され、昭和43年1月24日に第1審大阪地裁で実刑判決(懲役3年・罰金10万円)を受けた。Xはこの判決に対しても控訴し、控訴審係属中に保釈されたが、上記A・B各事件について実刑判決を回避することは困難であると見通し、その刑期も予想を上回るものであったので、自己が戸籍上死亡したことにして刑の執行を免れようと企て、自らの死亡診断書を偽造し、これを内容虚偽の死亡届と共に区役所戸籍係員に提出し、自らの戸籍の原本に不実の記載をさせるなどした。そして、自身が死亡した旨を、実弟等を介して事件担当の弁護人に連絡し、内容虚偽の除籍謄本を同弁護人に交付した。その結果、控訴審の大阪高裁は、昭和43年4月16日、B事件にかかる控訴事件につき、Xが同年3月1日に死亡したことを理由に刑訴法339条1項4号に基づき公訴棄却の決定をし、同決定は即時抗告の申立てもなく確定した(以下「本件決定」とする)。¶001