FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

被告人Xは、A・B・C3名と共謀の上、交通事故を偽装して故意に受傷し、保険金を騙取しようと企て、Bが運転しXとAが同乗する自動車にC運転の自動車を追突させ、前者の3名が外傷性頸椎症等の傷害を受けたとして入院し、保険会社と郵便局に保険金を請求してその支払いを受け、または受けようとしたとして、A・B・Cとともに詐欺および同未遂で起訴された。第1審(広島地判昭和50・8・6刑集〔参〕30巻9号1868頁)でXは共謀について否認したが、他の共同被告人は犯行を認めて詳細な供述をした。第1審判決はこれら3名の公判における自白を主な証拠として、XとA・Bを共謀共同正犯、Cを幇助犯と認定して全員を有罪とした。Xは事実誤認・量刑不当を理由に控訴したが、控訴審(広島高判昭和51・3・29前掲刑集〔参〕1880頁)は、Xの犯行に関する第1審におけるA・B・Cの各供述は十分信用できると判示したうえで有罪認定は維持したものの、量刑不当を認め、原判決を破棄して執行猶予を付した。Xは、共同被告人の自白のみに基づいてXを有罪と認定することは、憲法38条3項に違反するなどと主張して上告した。¶001