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事実の概要

本件は、5名の強盗グループが、資産家V方で金品を強取し、Vに傷害を負わせる強盗致傷の犯行に及んだ際、被告人が、Aと共謀の上、強盗グループの首領に対し、V方に多額の金品が保管されていることやVの家族構成等を教示するとともに、Aにおいて、V方に強盗グループを案内し、犯行を容易にした、という強盗致傷幇助の事案である。¶001

原審では公判前整理手続を経た上で審理され、Aは、「被告人の指示で、強盗グループをV方に案内した。Vの家族構成等は被告人が強盗グループの首領に話していた」旨証言し、強盗グループの一員であるBも、これを一部裏付ける証言をした。AおよびBの証言は、公判前整理手続段階から想定されていた内容のようであるが、弁護人は、AおよびBの捜査段階の供述調書を刑訴法328条により弾劾証拠として請求した。これに対し、原審は、①同法316条の32第1項の「やむを得ない事由」があるとはいえず、②取調べの必要性もないとして却下した上、Aの証言の信用性を肯定し、被告人を有罪とした。控訴審において、弁護人は、事実誤認等のほか、原審が上記弾劾証拠の請求を却下したのは同法316条の32の解釈を誤った訴訟手続の法令違反に当たる、などと主張した。¶002