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事実の概要

(1)

被告人は、幼児Aの実母としてAを監護していたが、夫と共謀の上、筋力が弱く運動能力の発達が遅れる乳児重症型先天性ミオパチーにより発育が遅れていたAに十分な栄養を与えるとともに適切な医療措置を受けさせるなどしてAの生存に必要な保護をする責任があったにもかかわらず、栄養不良状態に陥っていたAに対し、十分な栄養を与えることや適切な医療を受けさせるなどの生存に必要な保護をせず、低栄養に基づく衰弱によりAを死亡させたという保護責任者遺棄致死罪(訴因変更後のもの)で起訴された。主な争点は、被告人において、Aの要保護状態を認識していたかである(本判決は、訴因の不明確さを指摘し、客観的に重度の栄養不良状態を前提に、適切な栄養摂取方法につき医師等の助言を受けるかまたは適切な医療措置をAに受けさせることがAの生存に必要な保護行為と認定している)。¶001