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事実の概要

警察官らは、かねてから覚醒剤密売の嫌疑で有限会社Aに対して内偵捜査を進めていたが、A社関係者が東京の暴力団関係者から宅配便により覚醒剤を仕入れている疑いが生じたことから、宅配便業者の営業所に対して、A社の事務所に係る宅配便荷物の配達状況について照会等をした。その結果、同事務所には短期間のうちに多数の荷物が届けられており、それらの配送伝票の一部には不審な記載のあること等が判明した。¶001

そこで、警察官らは、同事務所に配達される予定の宅配便荷物のうち不審なものを借り出してその内容を把握する必要があると考え、上記営業所の長に対し、協力を求めたところ、承諾が得られたので、約2か月の間に5回にわたり、同事務所に配達される予定の宅配便荷物各1個を同営業所から借り受けた上、関西空港内大阪税関においてエックス線検査を行った。その結果、1回目の検査においては覚醒剤とおぼしき物は発見されなかったが、2回目以降の検査においては、いずれも、細かい固形物が均等に詰められている長方形の袋の射影が観察された(以下、これら5回の検査を「本件エックス線検査」という)。警察官らは、本件エックス線検査について、荷送人や荷受人の承諾を得ていなかった。¶002