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事実の概要

被告人Xは殺人の罪で起訴されたところ、本件犯行とXを結びつける「殆ど唯一の証拠」は、Xの捜査段階の自白であった(龍岡資晃・最判解刑事篇昭和59年度170頁)。その自白は次のような経緯で得られたものであった。¶001

Xは、警視庁高輪警察署の特別捜査本部に自ら出頭し、アリバイを陳弁した。しかし、その主張が虚偽であることが判明し容疑が強まったため、捜査官は、約2週間後、Xに任意同行を求め、同署での取調べが開始された。¶002