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事実の概要

本件は、大阪府が下水道施設の建設を日本下水道事業団(被告・被控訴人・被上告人―Y1)に委託したところ、施設の工事のうち、電気設備に関わる部分についてY1が民間業者に請け負わせるために行った指名競争入札において談合があり、Y1の予定した価格のほぼ上限で落札となった結果、委託料が余分にかかり、または談合がなければY1により行われたはずの精算・還付がなく、府に損害が生じたとして、Y1のほか、指名業者9社(被告・被控訴人・被上告人―Y2~Y10)に対し、府の住民ら(原告・控訴人・上告人―Xら)が提起した住民訴訟である(損害賠償請求権の行使を府知事らが怠っているとする、平成14年法律4号による改正前の旧4号請求)。監査請求に先立ち、Y2~Y10に対して公正取引委員会の課徴金納付命令(平成7・7・12審決集42巻300頁)があり、次いで本件の訴えが地裁に係属中、独禁法違反事件の有罪判決(東京高判平成8・5・31高刑集49巻2号320頁)が下された。この別件2つとも、Y1職員による予定価格の漏洩を受けてY2~Y10が全国規模の談合を続けていた事実を認定し、かつ確定している。本件の第1審(大阪地判平成11・10・28判タ1024号195頁)と原審(大阪高判平成13・1・24判タ1099号200頁)は、談合があっても府には損害が発生していないと判示した。Xらが上告受理申立て。¶001