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事実の概要
Y(紋別市―被告・被控訴人・上告人)は、2008(平成20)年2月8日に、同じ事業者が長期的に経営を継続することができる効用に期待して、市立老人福祉施設甲を民間事業者に移管すること(以下「本件民間移管」という)を決定した。本件民間移管においては、施設の譲渡を受ける事業者(以下「受託事業者」という)の選考は公募によることとされ、そのために受託事業候補者募集要綱(以下「本件募集要綱」という)が定められた。Yが同年2月25日から翌月24日まで受託事業者を募集(以下「本件募集」という)したところ、設立準備中の社会福祉法人A会のみが応募した。Yにより設置された受託事業候補者選定委員会は、書類審査やA会の理事長予定者等からのヒアリングを実施し、受託事業候補者としてA会を選定した。ところが、同年5月2日に、Y市長はA会を受託事業者として決定するに至らなかった旨の通知(以下「本件通知」という)をA会に対して発した。本件通知に対し、A会の理事長就任予定者X1と理事就任予定者X2は異議申立てを行ったが、8月22日付けでY市長は異議申立てを却下した。これを不服として、X1およびX2(原告・控訴人・被上告人。両者を合わせて以下「Xら」という)は、(a)本件通知の取消訴訟、(b)A会が受託事業者と決定された旨の通知の義務付け訴訟(行訴3条6項1号)を提起した。¶001