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事実の概要

大竹市(以下、「市」という)は、同市内に存する約6万2000 m2の市有地(以下、「本件土地」という)を住宅地とすることを計画し、2008年以降、3度にわたり一般競争入札に付するなどして売却しようとしたものの、いずれも不調に終わった。そこで2011年、市は4度目の売却手続を行うこととし(この際、市が依頼した不動産鑑定士による鑑定評価額は7億1300万円とされた)、予定価格を3億3777万8342円(非公表)として、買い手を公募した。これに対し有限会社A社らのみが共同で応募した。市長は市を代表し、本件土地を応募にあたり提示された3億5000万円(以下、「本件譲渡価格」という)でA社らに譲渡する旨の仮契約を締結した(この契約による本件土地の譲渡を以下、「本件譲渡」という)。市はこの額を適正な対価の範囲内であるとして、「適正な対価なくして」行う譲渡等を前提とする地方自治法(以下、「自治法」という)96条1項6号ではなく、適正な対価の範囲内での財産の処分等を前提とする同項8号の委任を受けた市条例の規定(土地にあっては予定価格2000万円以上かつ面積が1件5000 m2以上の契約は議会の議決に付すことを定めるもの)に基づき、本件土地をA社らに本件譲渡価格で売却する旨の議案(以下、「本件議案」という)を市議会に提出した。市議会の生活環境委員会で本件議案が可決されたのち、本会議では出席議員から、本件土地の鑑定評価額が1坪当たり約3万8000円であることを示した上で、本件譲渡価格では1坪当たり約1万8000円で売却することになるなどの意見が出されたが、結果として本件議案を可決とする議決がなされた(以下、「本件譲渡議決」という)。¶001