FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

X(東京都―原告・被控訴人・被上告人)は、都有地上にYら(被告)が無断で建物を建て敷地を占有しているとして、土地所有権に基づきYらに対して建物収去土地明渡請求訴訟を提起した。第1審(東京地判昭和37・5・11)は、Xの請求をほぼ全部認容した。ところが、第1審判決言渡し後、被告の1人Yが口頭弁論終結前に死亡していたことが判明した。しかし、Yの訴訟代理人は、弁論終結後、判決言渡し前に辞任していたので、Xの側からYの子Y1~Y3(被告・控訴人・上告人)を相手に受継の申立てがなされた(千種・後掲325頁参照)。Y1らは控訴を提起したが、Yの次女Y4も本件訴訟の存在を知り、控訴審の口頭弁論終結後、判決言渡し前に、自らも共同相続人である旨を裁判所に届け出た(昭和40年11月10日)。しかし、控訴審(東京高判昭和40・11・17)は、弁論を再開することなく、Y1らに対し改めて建物収去土地明渡しの判決をした。これに対し、Y1らは、本件訴訟は必要的共同訴訟であるから、原裁判所は直ちに弁論を再開し、Y4を訴訟に関与せしめるか、訴訟要件の欠缺を理由に訴えを却下すべきであったにもかかわらず、そうしなかったので、原審の訴訟手続違反は重大であり、原判決は破棄を免れないとして、上告した。¶001