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事実の概要

訴外Aは、Y(被告・控訴人・被上告人)から本件建物を850万円で購入したとして、売買契約に基づき本件建物の明渡しを求める訴えを提起した(以下「前訴1」)。前訴1においてYは、A・Y間で成立したのはAのYに対する850万円の貸金契約であるとして、売買契約の成立を否認した。裁判所は、Yの売買契約締結の意思表示を否定し、Aの請求を棄却する判決を出し、これが確定した。¶001

前訴1と同時並行的にAから本件建物の売却を受けたX(原告・被控訴人・上告人)は、Aが前訴1で敗訴したのを受け、Y・A間で本件建物についての譲渡担保設定予約がなされ、Aが予約完結権を行使した上で譲渡担保権を実行して本件建物をXに売却したと構成して、所有権に基づき本件建物の明渡しを求める訴え(以下「前訴2」)をYを被告として提起した。これに対しYは、前訴1同様Y・A間で締結されたのは貸金契約であると主張し、譲渡担保設定予約の成立を否認した。裁判所は、譲渡担保設定予約の成立を否定し、Xの請求を棄却し、この判決が確定した。¶002