事実の概要
平成7年7月31日に死亡したAは、死亡時に甲物件(甲土地と甲建物、評価額6679万円)を所有しており、さらに、乙物件(乙建物およびその敷地の本件借地権、評価額2395万円)、および、本件預貯金899万4484円を有していた。Aの相続人は、長男B、長女Y(被告・控訴人)、次女X1、三女X2(X1およびX2はいずれも原告・被控訴人)、孫Dら(Aの養子である亡C〔Yの夫〕の代襲相続人)である。¶001
Aは昭和27年から乙物件に居住し、C・Y夫婦も一時期乙物件で生活していたが、Aは昭和40年に甲物件を取得したことを機に、Aの妻およびBと共に甲物件に転居し、死亡するまでBと同居していた。C・Y夫婦およびその子らは、昭和40年以降乙物件に居住していた。その後、平成2年にCが死亡した。平成3年5月19日に、A・Y間で乙物件を目的物とする死因贈与契約(以下「本件死因贈与」という)を締結し、乙建物につき始期付所有権移転仮登記の手続をした。さらに、Aは平成3年5月28日付けで次の内容の遺言をした(以下「本件遺言」という)。その内容は、Bに甲物件を、Yに乙建物を、X1およびX2に本件預貯金を等分して、「相続させる」というものであった(Bを受益者とする「相続させる」遺言を「本件相続させる遺言」という)。Aの死後、XらはYおよびBに対して遺留分減殺の意思表示をなし、遺留分減殺を原因として、Bに対しては甲物件の持分の一部の所有権移転登記手続、Yに対しては乙建物の持分の一部の所有権移転登記手続と本件借地権の準共有持分の確認を求めて本件訴えを提起した。¶002