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事実の概要

日本人夫婦のXとYは、平成6年に日本で婚姻し、平成14年頃に長男・長女とともに米国に移住した。平成16年には二男A(日米重国籍)が米国で出生した。Yは、平成28年1月にXに無断でA(当時11歳3か月)を日本に連れ帰って以来、日本でAを監護している。¶001

平成28年7月25日、Xは、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(以下「実施法」とする)による子の返還を申し立て、東京家裁は、同年9月16日にAの米国への返還を命ずる終局決定をした(同年11月30日確定。以下「本件返還決定」とする)。平成29年5月、執行官は代替執行のためにY宅でAの解放実施を試みたが、Yは玄関の戸を開けず、執行官が2階の窓を解錠して立ち入った後も激しく抵抗したため、不奏功に終わった。¶002