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事実の概要

(1)

Y(被告・被控訴人・上告人)は、昭和35年3月、Cの所有するスクーターを無免許で運転していたところ、過失によりAに衝突し、Aに顔面の骨折や視力の低下などを生じさせた。Aは薬剤師であり、有限会社X(原告・控訴人・被上告人)の取締役であった(具体的な事情については判旨参照)。¶001

Xは、YおよびCに対し、Aの受傷によってXに営業上の損失が生じているとしてその損害賠償を請求し、またAはYおよびCに対して治療費相当額および慰謝料を損害賠償として請求した(Aが逸失利益を請求していないのは、受傷後もXから給与の支払いを受けたため逸失利益が存在しないためであると推測される。可部恒雄・最判解民事篇昭和43年度(下)1420頁注3)。¶002