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事実の概要
X(原告・控訴人・被上告人)は、公用地の取得などを行う東京都足立区の公社であり、Y(被告・被控訴人・上告人)は、ふっ素機能製品の製作販売会社である。足立区は、新交通システム日暮里・舎人線を開設するための用地をAから買収することになったが、当該用地および用地上の建物はBが賃借して運送業を営んでおり、代替地の取得が不可欠となっていた。代替地を必要としていた足立区から要請を受けて、Xは、平成3年3月15日に、Y所有の土地を23億円余で売買する契約をYと締結し、平成4年4月2日に本件土地はYからXに引き渡された。Yは本件土地で工業用ふっ酸を製造していた。本件土地の土壌には契約締結時からふっ素が含まれていたが、当時は、法令による規制はなく、取引観念上も土壌に含まれるふっ素により人の健康に被害をもたらすおそれがあるとは認識されていなかった。¶001