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事実の概要

X(原告・被控訴人・被上告人)は、昭和42年9月4日、中古自動車の販売等を行っていたY(被告・控訴人・上告人)より自動車を代金57万5000円で買い受け、即日代金全額を支払い、引渡しを受けた。本件自動車は、Yが、同業者であるAより買い受けたものであった。前記各売買当時、本件自動車の登録名義人はB会社であったが、Yとしては、Aとの間の売買の際は、本件自動車を処分する権限をAが持っており、かつその名義変更が直ちにできる旨のAの言を信じており、Xとの売買に当たっては、Yの責任において本件自動車の登録名義をX名義に移すことを約していた。ところが、Aは何らの処分権限を有しないまま、第三者所有の本件自動車をYに売り渡していたため、Yは本件自動車の登録名義をXに移すことができずにいたところ、本件自動車を所有権留保付きで割賦販売し、その所有権を留保していたB会社が、昭和43年9月11日、本件自動車を執行官の保管とする旨の仮処分決定を得、翌12日、その執行をしたため、本件自動車はXから引き揚げられた。Xは、前記仮処分執行により初めて、本件自動車がYの所有であったことはなく、Yが第三者所有の本件自動車をXに売り渡したことに気付いた。¶001