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事実の概要

本件は、差戻控訴審判決の上告事件であり、経過は以下のとおりである。X(原告・控訴人・上告人)は、昭和23年5月26日に、Y(被告・被控訴人・被上告人)から、本件土地を建物所有目的で期間20年として賃借したが、更地のまま放置した。昭和36年11月25日、Yは、Aに本件土地を売却し、27日、所有権移転登記がなされ、同日、AがBのために本件土地について根抵当権を設定し、停止条件付き代物弁済契約を原因とする所有権移転の仮登記がなされた。同年12月、AとBが、Xによる本件土地での杭打ち作業を妨害した。昭和37年3月17日、AからBに本件土地の所有権移転登記が行われ、BはXの賃借権を否定して、本件土地への立入りを禁止し、工事禁止の仮処分を行った。そこで、XはYに対し、借地の譲渡に際し、賃貸人Yは賃借人Xの借地権が侵害されないよう適当の措置を採るべき義務に違反し、Xの借地権を不法に侵害して消滅させたとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した。一審は、請求棄却。二審は、Y・A間において賃貸人の地位の承継はないことを前提に、Yの不法行為責任を肯定して、Xの請求を認容。上告審は、原判決の認定した事実だけでは、Yが履行不能を理由とする損害賠償責任を負担することがあるのは格別、不法行為があるとする理由としては不十分であるとして破棄差戻しとした。¶001