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事実の概要

Y(被告・被控訴人・上告人)は、平成12年6月30日、甲漁場、乙漁場ほかにある生簀の養殖魚すべてを極度額25億円の養魚用飼料代金債権の担保のために、訴外Aに根譲渡担保として提供し、占有改定により引き渡した。同年12月7日、Yは、乙漁場の生簀の養殖魚すべてを極度額10億円の債権の担保のために、訴外Bに根譲渡担保として提供し、占有改定により引き渡した。さらに、平成15年2月14日、極度額30億円の債権の担保のために、Yは、甲漁場、乙漁場ほかの生簀の養殖魚すべてを、訴外Cに根譲渡担保として提供し、占有改定の方法で引き渡した。AとCは、通常の営業の範囲内での養殖魚の販売を、またBは、目的物の無償利用を、それぞれYに認めていた。その後平成15年4月30日に、Yは、X(原告・控訴人・被上告人)との間で、乙漁場内の特定の生簀21基内の養殖ブリ13万尾余りをXに売却した上で、XがYに養殖ブリを預託し、Yが飼育する旨の本件第1契約を締結した。この契約では、Yが預託された養殖ブリを買い戻した上で、加工し、Xに販売し、さらにそれをXが訴外Dに売却する旨が定められていた。同時に、XとYとは、Y所有の養殖ハマチ27万尾余りをXに売却し、転売のための搬出までYが管理する旨の本件第2契約を締結した。この結果、Aらの譲渡担保の目的となっていた養殖魚は、本件第1契約および第2契約の目的物となった。その後Yは、平成15年7月30日に民事再生手続開始を申し立て、8月4日に開始決定がなされた。¶001